平成14年10月21日放送
平成14年度日本産婦人科医会支部長会より
日本産婦人科医会副幹事長 宮崎 亮一郎

 

 本日は、9月29日に開催されました、平成14年度の日本産婦人科医会・支部長会について報告いたします。

 開会の辞として、会に先立ち、支部長懇談会を行うので、そこで十分な討論をお願いしたい。と、市川副会長より挨拶があり、開会されました。

 また、新支部長として、愛知県支部では加納 泉先生から成田 收先生へ、宮崎県支部は大淵達郎先生から西村篤乃先生へ交替があったことが報告されました。

 まず、本会の会長である坂元正一先生から次のような挨拶がありました。

  • 我々産婦人科医会もショー・ザ・フラッグを行う。
  • 日本医師会、厚労省に対して思い切った提言をしたい。
  • 医会内の機構改革も必要であり、学会と医会との協力も必要なことであると考えている。
  • 理事会は政策決定機構であるが、その中で話し合われる内容に関して、支部長の皆様の智恵を必要としている。本会はフレンドとして言いたいことは言える状態にある。貴重な意見をお聞かせ願いたい。

 つぎに、連絡・協議として、9部2室から以下のような報告・連絡事項がなされました。

  1. 総務部より
    A.<庶務担当の清川常務理事から>
    医会と学会の各雑誌について、共同発送を予定している。医会報10月号にその旨会員へ伝達、来年1月から試行し、4月より実施の予定。
    B.<法制・倫理担当の白須常務理事から>
    本年12月7日、日本医師会館講堂で開催される、平成14年度家族計画・母体保護法指導者講習会について
    また、本会の定款改訂や日本医師会の指定医師基準変更に伴い、本会の指定医師必携の改訂版が近々会員へ配布される予定となったこと。
    中絶報告書の不備について
    最近、母子保健統計の中絶理由、また年齢の不詳が増えている。これについて支部の先生方の報告書確認を強化してもらいたい。旨の本部からの要望が説明されました。
  2. <経理部担当の飯塚常務理事より>
    平成14年度予算の実績について説明され、会員へ早急の入金をお願いしたい。と依頼がなされました。
  3. 学術研修部担当の寺尾常務理事より
    研修ノート作成状況については、「感染とパートナーシップ」を10月に発送予定との説明がありました。
  4. 医事紛争対策部の川端常務理事より
    第12回全国支部医事紛争対策担当者連絡会
    「中小産婦人科医療機関における医療安全管理指針モデル」の発刊
    鑑定人候補者リストの作成 の3項目について報告がありました。
  5. 医療対策部
    A.医療対策担当の佐藤常務理事より
    各種アンケート調査についての結果は、平成15年1月以降に報告していく予定である。と述べられました。
    B.産科看護担当の大村常務理事より
    第23回全国産婦人科看護研修学院卒後研修会並びに産婦人科看護従業者研修会の開催
    「産婦人科看護研修学院の運営に関する通達」の回答
    の2項目について、その経緯が説明されました。
  6. 勤務医担当の西島常務理事より
    新入医局員対策について、平成16年度からは研修前の医学生も見るようなホームページを作成するので、支部の先生方には各施設へ積極的に協力して欲しいと依頼されました。
  7. 社会保険部担当の佐々木常務理事より
    分娩介助料について
    患者団体から厚労省に帝切時の分娩介助料に関して不信感が抱かれている。詳細に関しては9月号に記載してあること。各支部会員へ十分伝達をして欲しい旨説明されました。
    生殖補助医療の保険収載について
    坂口厚労大臣の講演の中で、生殖補助医療・出産を含めて少子化対策として対応したいと発言されたことに対して、医会としては生殖補助医療の保険収載は勧める方向にあるが、支払い者側からの反対があるという現状と、妊婦健診・分娩料についての保険収載に対しては、本会として日医にも働きかけ反対していく旨の説明がなされました。
    診療報酬改定に伴う動態調査について
    母集団が少ないこと、解析期間が短いことがあり、さらに調査していく予定であると述べられました。
  8. 広報部担当の亀井常務理事から
    本年度事業の推進について
    本会の名称変更によって、「日本産婦人科医会報」となり、略称として「日産婦医会報」としたこと、その他、トピックスについて報告されました。
  9. 女性保健部
    A.母子保健担当の朝倉常務理事から
    母子保健事業として、プレネータルビジットの調査結果が報告され、
    「健やか親子21」についてでは、他の部と協力して推進する予定で、本会としては安全性を確保していくことに重点をおくこと、
    新生児聴覚スクリーニング検査事業については、
    実態調査結果が報告され、発見時以降のシステムができていない現状もあり、支部へはマニュアルを送っているので、それらを上手く活用して欲しい。
    さらに、平成14年度小規模事業所の母性健康管理に関する相談体制の整備事業については、厚労省は事業を継続していく予定である。
    B.また、先天異常担当の朝倉常務理事より
    平成13年度外表奇形等統計調査結果については、調査対象内の奇形児出産頻度が1.70%であったこと、頻度の高いのは心室中隔欠損で、徐々に増加しているのはダウン症候群、尿道下裂等であると、解説されました。
    C.がん対策担当の永井常務理事より
    平成14年11月10日開催の第21回全国支部がん対策担当者連絡会、
    第1回、日本産婦人科乳癌研究会
    平成14年7月27、28日に開催された、乳がん検診用マンモグラム読影に関する研修会について、それぞれ報告されました。
    また、がん対策委員会で作成した、「子宮頸がん検診を30歳未満の若年層へ拡大するために」、を行政との交渉資料として活用していただきたいと要望されました。
    D.予防医学・介護担当の田辺常務理事より
    平成14年7月7日横浜市市民文化会館関内ホールで開催された性教育指導セミナーについての報告、来年の7月6日(日)は全協漣ビルで本部主催により 行うこと、さらに、平成16年は秋田支部で主催することが理事会で決定したことが報告されました。
    ホルモン補充療法の安全性に関する本会の見解についてでは、
    その経緯について説明され、医会報、ホームページを参考にして欲しい。
    平成15年2月2日開催の第1回女性保健と介護に関する検討会開催について、説明されました。
  10. 中央情報室担当の佐藤常務理事より
    メールの活用状況が説明され、今後各支部への連絡はメールを中心に活用していきたい。旨の要望がなされました。
  11. 献金担当連絡室担当の力武常務理事より
    財団法人日母おぎゃ−献金基金寄付行為変更の認可、
    献金事業の推進について、説明されました。

支部提出議題として、

北海道支部における地区統合について、兼元敏隆北海道支部長より
北海道支部における地区統合について、経緯、役員及び代議員選出規定が説明されました。

支部長との懇談会では、

まず、産科看護研修学院について
市川副会長:冒頭、医療事故・医療対策、安全な分娩を考えた場合の研修等今後十分に考えていかなければならない問題である。厚労省と十分協議、助産師協会との話し合いを十分にもちたい。と説明されました。

北原敬市千葉県支部長より:
産科看護学院の意義はあったと思う。時代の変遷とともに無資格者の問題が出てきた。明確な助産業務に関して示して戴きたい。と提案されました。

これに対して、弁護士であり本会の監査監事である、平岩敬一先生から、:
細かい法律内容に関しては分らないが、出産は一つの流れの中で、看護師、助産師が係る部分で重なりがあるものと思う。最終的にその業務の規定を決定するのは裁判所であるが、看護師・助産師と医会との話し合い、それを監督する厚労省がどのように判断するかによって業務がきまってくると思う。と回答されました。

久保田順一佐賀県支部長より:
実習件数が教育機関内では足らないのが現状である。と発言され、

柿木成也鹿児島県支部長より:
国が考えている助産師は年間495名であるが、実際は昨年度195名であった。と報告されました。
これに対して、高橋副会長より:
旧助産婦学校についてと、開設に必要な条件等について説明され、その中で実習指導者講習において認可された人がいれば複数施設での実習は可能である。との回答されました。
寺尾常務理事より:
4年生大学では、そのほとんどが保健師になっているのが現状であること。看護師試験の偏差値は高く。専門学校から3年目に編入可能であるが、その倍率は非常に高いこと。
問題は、助産師を教育する指導助産師の負担が大きい点にあるとの考えを示された。
坂元会長より:
厚労省と話し合いを持ち、これらのことを提言していきたい。と述べられました。

2.西野英男大阪支部長より。
大阪では臍帯血のプライベートバンクが出来ているようである。一般開業医にとっては患者さんから依頼されると断りにくいのも現状である。と発言され、
朝倉常務理事から:
厚労省、公的臍帯血バンクでは、プライベートバンクについて、品質管理に問題ありとして声明文を出している。近々、医会報で会員へ周知する。と述べられました。

また、本部からは、
 1.産婦人科医への学校医への参画(本部)
 2.若手産婦人科医への育成(本部)
の2項目について説明され、各支部長に積極的に参加を要望しました。

閉会の辞として:高橋副会長より
 貴重な意見を伺えて感謝している。今後の本会の見解として先生方の意見を参考にして対応していきたいと挨拶され、会が終了しました。

以上です。