平成12年10月16日放送

 第50回臨時代議員会並びに総会

 日母産婦人科医会常務理事 市川 尚

 

第50回臨時代議員会並びに総会が10月1日午前11時より開催されました。本年までは毎年3月末に定例代議員会として年1回開催し、その時その年度の会務報告と前年度決算の承認、及び次年度の事業計画と予算案の審議・承認を求めておりました。日本医師会、都道府県医師会を含めた社団法人の多くの団体は年2回代議員会を開催して、秋の代議員会で前年度決算について審議し、春以降の会務報告をしています。会員にとってその方が分かり易く、適正であるとして今年度より日母でも年2回代議員会を開催することで年度計画にて承認を受け、今回の開催の運びとなったわけです。

今回も代議員会の前日に理事会を開き、代議員会提出案件の審議を行い、又代議員会当日の午前9時30分より各ブロックより選出された予算・決算委員会のメンバーに集まってもらい予備審議をしてもらいました。

代議員会では坂元会長の挨拶のあと会務報告として5件の報告をしました。

第1は労働省からの委託事業である「小規模事業所向け電話相談事業」について報告しました。この事業は今年までは各都道府県内の1〜2ヵ所の地域産業保健センターに委託して、月1回の相談日を設けて母体健康管理の上で女性労働者に講ずべき措置に係わる相談を受けていました。しかし、月1回の決められた日であること、委託された地域に限定されているため、実際にはそれ程の相談に来る人も少なく、事業の実績が上がっていなかったのが実情のようで、これを日母に委託し、各都道府県支部が行っていただき、事業主から相談があったときには、電話なり、FAXでコーディネーターとなる事務員なりが受け、それを支部内で定めた担当医が後日事業主にFAXで回答をするという事業を来年度からは行いたい旨の提案がありました。それに対しては委託料を支払うという制度です。母性健康管理指導事項連絡カードの普及を労働省は推進しており、それを受けた事業主が相談したい時にこの事業を利用してほしいということで、日本医師会の了承もとったので、日母で受けていたいただきたいとの提案でした。理事会で承認されたので詳細の検討に入り、来年度の事業にしたいと考えています。

第2は平成13年度母子保健関係予算概算要求に対して日母よりの要望書を厚生省児童家庭局長に提出したことを報告しました。内容は新エンゼルプランの着実な推進のため必要な予算を積極的に要求したものです。総合周産期母子保健医療センターの充実と運営費の補助、周産期ネットワークの整備並びに小児救急医療支援体制の充実と不妊相談センターの一層の増設等を要求すると伴に、妊産婦・乳幼児等の健康管理の推進に係る事業費の国庫補助事業への復活をお顧いしました。

第3は平成13年税制改正への要望書を自由民主党政務調査会、組織本部へ提出しました。医療機関全体に関係した、消費税、事業税等への要望は日本医師会等が要望しているので、我々は産婦人科医に対する関係税制への配慮と共に産婦人科医療を取り巻く医療環境は少子化に伴ない特に厳しいものになっていることから6項目について要望しました。

1 少子化対策への積極的支援と関連事業への減税措置を

 2 母子保健事業、老人保健事業(乳がん、子宮がん検診)等の国庫補助事業への復活を

 3 産婦人科医師、母子保健関係従業員の減少化に支援を

 4 出産育児一時金のアップ 特に50万円にアップして少しでも出産環境を改善してほしい

等の要望書を提出しました。

第4の報告は、代議員会の傍聴についてです。今回一会員より支部を経由してでなく、直接会員が本部代議員会議長宛に代議員会傍聴の届けがありましたが、常務理事会で検討した結果、傍聴希望会員は各都道府県支部を経由して、支部長承認の上本部へ届けを出していただくことにしました。

第5は、無資格者による医療行為についてであります。日母医報7月号にも記事を載せ、注意をお願いしたことですが5月24日付の厚生省健康政策局発の通知でも、無資格診療等に係る通報があった場合には直ちに立入検査を行い、無資格者による医療行為があったことが明らかな時は刑事訴訟法により告発するなど対処することになっています。これは看護助手、学生などの業務が診療補助行為のうち資格者にのみ与えられているものに及んでいることが問題になっています。この件は以前から日母産科看護研修学院に無資格者でも受講ができる頃に修了した者が診療行為をしていないか、厚生省看護課より、強く注意・勧告されていたことで、現在は全国各学院共に資格者の研修ということになっているで問題有りませんが、今回8月に北海道で市民よりの通報で検査した結果問題にされたことがマスコミに報道されたので再度会員に注意をしてほしい旨報告しました。

昼食後協議に入り、第一号議案の平成11年度決算(案)の説明を飯塚経理担当常務理事より行いました。質疑のあと暫時休憩中に決算委員会開き、中澤決算委員長より審議結果をまとめ再開後の代議員会にて説明をされ、全員賛成にて承認されました。

次いで第二号議案である、日母定款改定について白須法制担当常務理事より主旨説明を行いました。今回の定款改定に至る経過について少々お話をします。日本母性保護医協会の名称が本法人の発足以来の名称ですが、この名称では本会が産婦人科医師の団体であることが理解され難く、特に諸外国の団体に対しては説明をし了解を得る必要さえありました。更に今後若い産婦人科医師入会を促進していくためにも、本会は単に優生保護法の適正な運用を目的としていることだけではなく、広く母子保健の事業、臨床産婦人科医療の推進をはかっている会であることを分かってもらう必要がありました。そこで平成3年に会長諮問の委員会である「定款検討委員会」を発足させました。委員は代議員11名、執行部より11名と現在代議員会議長である岩水先生を委員長として発足、将来的ビジョンに立ち、名称・構成・目的・事業等幅広い検討を行いました。この委員会案は平成4年3月に答申され、同年の代議員会において報告され、この答申に基づいて関係官庁と折衝に入ることが承認されました。

折衝では、名称と同時に会の目的・事業を一緒に変更することは新しい社団法人を設立することと等しいとの考え方から難航し、当時の所務官庁の厚生省精神保健課と話し平成5年まず名称の変更を行うこととしました。

「日本産婦人科医会」の名称は、厚生省は了解しましたが、日本医師会は指定医の指定権を都道府県医師会がもっていることから「母性保護」の削除に賛成が得られず、日本母性保護産婦人科医会となり平成6年5月25日に定款変更をしました。又この時「特別会員」制度を新設しました。

平成8年に優生保護法の改正が行われ、本法律の中に含まれていた優生思想の部分がとれ、今の母体保護法になったことから、本会の定款の目的にある言葉も適正でないことから定款変更を求められました。そこで第四条(目的)は「母子の生命健康を保護するとともに女性の健康を保護・増進し、もって国民の健康に寄与する」と変更され、事業第5条の2は「優生保護法に関する啓蒙」から「女性保健に関する啓発」となりました。そのため今後の本会の名称は「母性保護」だけでは適切でなくなったわけです。昨年より関係団体の折衝したことより厚生省母子保健課、日本医師会共に理解を示していただけたため、改めて代議員会の承認を求め、「日本母性保護産婦人科医会」から「日本産婦人科医会」への定款変更は十分な議論の上、満場一致で承認されました。

「日母」の略称への愛着より何等かの形で、この気持ちを残すことはこれからの事として、この定款改正については、正式に今回の承認で折衝に入ることになりました。総会で代議員会決定事項を承認し閉会となりました。