19.胎児の形態異常(頭部)

前に妊娠中期の精密超音波検査のチェック項目をご説明いたしました。
今回以降は、実際どのような異常があるのかを、代表的な疾患を中心にご紹介していきます。

脳室拡大

 BPDを測る断面では、対称性、視床、側脳室、透明中隔などが正常であるかを確認しますが、脳室の拡大があることがしばしばあります。側脳室の三角部では10mm以上あると異常の可能性を疑います。ただし、測定自体が難しいことや、神経学的に異常があるかないかは別問題なので、説明には注意を要します。
脳内の脈絡叢で産生される脳脊髄液の脊髄腔への流出が悪い場合などに発生しますので、脳室の拡大している場所によって狭窄部位を推定します。脊髄髄膜瘤でも脳室拡大になりますので、背中の全チェックも必要です。

小脳萎縮

小脳の横幅を測定したり、大槽(小脳の後側のスペース)の深さを測定することで評価をします。小脳の横径はほぼ妊娠週数と同じと覚えておけばよいので、週数より極端に小さければ疑います。大槽の深さが10mm以上ある場合も小脳萎縮を疑います。小脳萎縮は、染色体異常との関連も深いので、他の形態異常のチェックも行い、遺伝学的検査を考慮しなければなりません。

口唇裂・口蓋裂

顔面は対称性、眼窩、鼻、口唇などを確認します。顔面の異常の頻度として多いのは口唇裂です。B-モードでは、口唇裂は鼻と上口唇のみが映るぐらい薄くスライスした像をださないと見誤りますので要注意です。口蓋裂に関しての診断は極めて難しいので、よほど専門的に診ない限りはその有無については言及できません。口唇裂については、赤ちゃんの状態を説明する上で3D超音波が有用な方法であります。