16.妊娠中期の精密超音波検査

妊娠中期以降の超音波検査のポイントは、胎児(精密)超音波検査、胎児形態スクリーニングなどと言われている胎児形態評価と、健診毎の胎児発育とwell beingの評価として行われる一般超音波検査、そして早産ハイリスク例や前置胎盤のチェックとしての経腟超音波検査に分けられます。今回は、妊娠中期の精密超音波検査のチェック項目(基準断面)をお示しします。
妊娠初期の精密超音波検査でお話ししたこととかぶりますので、そちらもご参照ください。超音波診断装置の進歩とこのようなスクリーニングの普及によって、多くの胎児異常は出生前に診断されるようになっています。各施設、独自の基準断面や、検査の施行時期、チェックリストなどがあることかと思います。ここに述べますのはひとつのものとして参考にして頂ければと思います。いずれにせよ、チェックしなければならない項目はそこそこありますので、それぞれの施設でやりやすいチェックリストを使うことがポイントと思います。

頭蓋および顔面
BPDを測る断面
対称性、視床、側脳室、透明中隔などが正常であるかを確認。

小脳
小脳の大きさ、大槽(小脳の後側のスペース)が広くないかを確認。

顔面
対称性、眼窩、鼻、口唇を確認。

胸部
肺野がきれいかを確認。冠状断か矢状断で横隔膜を確認。 

心臓(four chamber view)を描出し、心臓の位置、逆位、心軸の偏位、心拡大が無いかを確認。心室中隔、卵円孔を確認。肺静脈も確認できればなおよい。

Four chamber viewから児の頭側にスライドし、左室から大動脈が流出するところを確認。

右室から肺動脈が流出する画面ところを確認。

Three vessel viewで、肺動脈-大動脈-上大静脈の順に並んでいることを確認。

矢状断で大動脈弓、大動脈を確認。

動脈管弓(Ductal arch)を確認できればなお良い。

上大静脈-右房-下大静脈を確認。

腹部
ACを測る断面で胃胞の確認。

ACの断面から胎児尾側にスライドし、臍輪部や膀胱を確認。臍帯動脈が2本であることの確認も行う。

冠状断か矢状断に平行の断面で左右腎臓を確認。水平断でもよいが形態異常をみつけづらい。

骨格
脊柱が頸部から仙尾部まで矢状断で確認。子宮壁にくっつかないように少しプローベを浮かし、隙間を作ると良い。

四肢の数および四肢短縮の有無を確認する。

外性器
女児の診断は、「陰茎や陰嚢が描出されない」で行わず、「leafサイン」「コーヒー豆サイン」で診断する。