14. PARP阻害薬による新規卵巣癌治療 ―これからの卵巣癌治療の方向性―

概要
2018年4月から卵巣癌新規治療薬としてPARP阻害薬が登場した。効能・効果として白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣癌における維持療法として使用することになった。

<効能・効果に関連する使用上の注意>
1.再発時の白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法で奏効が維持されている患者を対象とすること。
2.臨床試験に組み入れられた患者における白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法終了後から再発までの期間(PFI)等について、「臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。

文字通り解釈すると、卵巣癌で初回治療に手術と抗癌剤による治療としてTCあるいはdd-TCを行ったあとに、6か月以上の間隔をあけて再発した場合(プラチナ感受性)に、プラチナを含んだレジメンで化学療法を実施し、奏効が維持された場合の維持療法としてPARP阻害薬を使用することになる。

臨床試験成績から見える治療の方向性
1.プラチナ感受性がPARP阻害薬効果予測のサロゲートマーカーとなる。
・相同組み換え修復機序が破綻しているとプラチナ感受性がある
・プラチナ感受性があるうちにPARP阻害薬を使用する
2.PARP阻害薬の適応がプラチナ感受性再発
・再発を繰り返すごとに、プラチナ抵抗性になりやすい
・プラチナ抵抗性になってからでは使えない
・プラチナ抵抗性になる可能性が低い、最初の再発のときに処方するのがメリット
図のように相同組み換え修復が破綻しているうちはプラチナ感受性であり、プラチナ抵抗性再発の時点ではすでに相同組み換え修復の破綻が改善しつつあることを意味している。