3. 思春期女子の月経異常-続発無月経

その3 思春期女子の月経異常-続発無月経
思春期といえども、まずは、妊娠の可能性を否定する。その上で、ホルモン検査として、FSH、LH、TSH、free T4、freeT3、プロラクチン、エストラジオール(E2)、テストステロンの血中基礎値を測定する。高プロラクチン血症を認めれば、最初にドパミン製剤の投与を行い、甲状腺機能異常を認めればそれに対応する治療を行う。その上で、無月経を認めれば、第一度無月経と第二度無月経に分けて治療を行う。
第一度無月経では内因性のエストロゲン分泌は保たれており、エストロゲンのみに長期間暴露されていることによる弊害(子宮内膜症や将来の子宮体がん発症リスクの上昇など)や、多嚢胞性卵巣症候群などにみられる高アンドロゲン血症やインスリン抵抗性などによる将来の生活習慣病発症のリスク増大などから、Holmstrom治療を2-3ヵ月毎に行って月経を誘導する。
第二度無月経では、長期間無月経が続くと、低エストロゲン状態のために、思春期にみられる大切な骨量増加が抑えられ、18歳頃に到達する最大骨量のピーク値が低くなりやすく、骨折や将来の骨粗鬆症発生のリスクを高めると考えられること、また、性器の萎縮や無月経に対する精神的な側面などを考慮してKaufmann治療を行う。どちらも2-3ヵ月に1回の月経の誘導でよい。
また、若年女性の無月経の原因としては体重減少に伴うものが多いが、体重減少が特に著しい場合は、安易に月経誘導をせずに、標準体重の90%を目指した食事指導や生活指導などのカウンセリング治療を行い、少なくとも標準体重の70%を超えてから月経誘導を行う。高度肥満による無月経では5-10%程度の減量でも月経が再開されやすい。
スポーツトレーニングなどによる無月経では、LEP/OCなどを用いて、月経時期のコントロールも行いながら使用することもある。
原発無月経であっても、月経流出路閉鎖などの器質性の要因がない場合は、続発無月経と同様のホルモン治療を行う。

注;P製剤:プロベラ®(2.5mg)2錠/日 分2 又は、デュファストン®(5mg)2錠/日 分2
  E製剤:プレマリン®(0.625mg)1錠/日 分1,
カウフマン治療に用いる中用量EP製剤:プラノバール® または ソフィアA®1錠/日  
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